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あまぞんな日々

   

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本【「砂の女」 阿部公房著】



新潮文庫。

西暦2000年だっただろうか。全国のスピーチで「このプレミアムの年に~」と言うボケが大流行していた頃。アフリカのサハラ砂漠で、土地の砂漠化が深刻な問題になっているとニュースでやっていた気がする。年間で約6万K㎡の勢いで砂漠が拡大していたらしい。当時、原因は地球温暖化・・・という事になっていた。しかし現状は少し違うようだ。

最近の調査によれば、近年のサハラ砂漠はむしろ緑化が進んでいるんだそうな。理由は『温暖化が原因と思われる気候変動に端を発した降雨量の増加』。エコを謳って植樹活動をしていた企業には皮肉な話だよね。
ナショナルジオグラフィック ニュース サハラ砂漠、気候変動で緑化が進行か

あらすじ
中学教師の男がある日、砂丘へ昆虫採集に出かける。虫探しをする男。そこに現れた砂丘の集落に住む老人が「一晩宿を貸そう」と話しかける。申し出に従って、砂穴の底にある一軒屋で夜を明かした男は、翌朝、蟻地獄に閉じ込められたことに気づく。

内面世界を爆発させがちな阿部公房作品の中では、かなり読みやすい部類に入ると思う。砂穴に閉じ込められるという有り得ない状況ながら、もしかしたら現実の出来事かもしれないと思わせるリアリティがあり、作品にいい意味で影を作り出している。
阿部公房の比喩表現は本当に見事だと思う。文体そのものが、すっごい砂っぽい。海水浴後に砂がまとわりつくような不快感すら、文章を通して感じたほどだった。

この作品の大きなテーマは「個人の尊厳」と「自由」。閉じ込められた男 は、脱出に策を巡らせながらも「砂かき」に追われる。砂かきをしないと数日で家が、いつかは集落が砂に埋もれてしまうからだ。誰がやっても同じ、無機質な 反復作業の象徴ともいえる「砂かき」は、読者に自己の存在理由を問いかける。自由であるはずの文明社会で暮らす人間が、毎日毎日、歯車のように生きる姿 は、奴隷のように不自由な「砂かき」労働と変わりないのではないか。


読み終わった瞬間の感想は「喉が渇いた」。『砂の女』を脱水症状の人間に読ませれば命を根こそぎ削り取れるかもわからんね。人生に生き迷っている若者。あるいは加速度を失った中年代に、解決の本ではなく自己を見つめる本としてオススメしたい。官能シーンもあるよ!


中国の黄砂をなんとかして欲しい。対策として、A案のでっかい扇風機を採用したい。
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