あまぞんな日々

春は奴らが動き始める。この時期に駆除するのが最適なんだって。

私がゴキブリに対してトラウマを抱いたのは小学生の頃だった。真夏の夜にトイレに立つ私。寝ぼけ眼で暗い廊下をふらりふらり歩いていると、突然足の裏に違和感が。

「ぶちゅ」

これ以上は語るまい。

ゴキブリを退治する手段は4つに大別される。それぞれの利点と欠点をいくつか挙げてみる。

1、近接攻撃タイプ
丸めた新聞紙や直接噴射するスプレー等がこのタイプに分類される。
非常に大きなリスクを伴うが、即効性は群を抜いている。

利点： ・殺傷能力の高さ ・目に見える達成感・安堵感

欠点： ・接近できる事が大前提 ・根本的な解決にならない

2、範囲攻撃タイプ
部屋全体に薬剤を霧散させる殺虫剤がこのタイプに分類される。
リスクは小さいが、条件によっては効力が不安定。

利点： ・安全な空間を手軽に実現できる ・ついでに他の害虫も駆除できる

欠点： ・数時間退避しなければいけない ・床下などに逃げた場合効果がない ・卵には効果がない

3、罠タイプ
粘着シートや設置型の固形薬剤等がこのタイプに分類される。
薬剤型はリスクが小さく非常に効力が高いが、長期戦は必死。

利点： ・手間が少ない ・連鎖的に駆除できる（薬剤型）	欠点： ・効果が実感できるまで時間がかかる ・設置が最難関

4、範囲防御タイプ
電磁波を利用した機器や忌避性を持つシート等がこのタイプに分類される。
根本的解決を図ることができるが、ご近所は大迷惑。

利点： ・敵に直接接触しなくてもよい ・根本的な解決になる ・ご近所は大迷惑	欠点： ・効果範囲が限定的 ・場合によっては効果がない ・ご近所は大迷惑

本格的にゴキブリを駆逐するならば、これらを複合的に使用することになる。
理想としては、まずイレギュラーなゴキブリに備えて最優先で近接戦闘タイプを用意する。次に範囲攻撃タイプによって空間制圧。死骸を回収しつつ、ついでに罠タイプを設置していく。その際生き残りによるゲリラ攻撃の危険がある為、近接戦闘タイプは必ず携帯する。最後に外部からの進入が予想される場所に範囲防御タイプを設置してミッションコンプリート。


以下ちょっとした補足。

最近のスプレータイプの有効成分を読むと「イミプロトリン」という文字がよく目に入る。これはピレスロイド系の化合物の一種で、ゴキブリに対して非常に高い即効性のノックダウン効果を発揮する。一見即死させているように見えるが、実はこの成分はゴキブリを気絶させているに過ぎず、しばらくほうっておくと復活してしまう。そこで、多くのゴキブリ殺虫剤はこの即効性の気絶成分と、残効性の致死成分（フェノトリン、メトキサジアゾン等）を混合して復活を予防している。

amazonランキングでは、『ゴキブリフマキラー』よりも『ゴキジェットプロ』のほうが上位にあるけど、よく見るとこのゴキジェットプロには残効性の致死成分にあたる成分表記がない（ゴキブリフマキラーはフェノトリン）。確証はないけど、気絶させるだけの製品じゃないのかな。
アース製薬からは『ゴキジェットプロ　秒殺＋まちぶせ』という残効性有効成分メトキサジアゾンを混合した製品も出ているけど、こっちは第二類医薬品に指定されていてネット販売はされていない。
⇒アース製薬　ゴキジェットプロ一覧

【ピレスロイド系】
防虫菊に含まれる有効成分の総称。哺乳類には比較的安全な反面、昆虫や魚類に対して高い毒性を持つ。家庭向けの殺虫剤や蚊取り線香なんかはほとんどこれ。アレルギー反応がでる人もいる。稀に、ピレスロイド系に耐性を獲得したゴキブリがいるので過信は禁物。

【メトキサジアゾン】
オキサジアゾール系の殺虫成分。ピレスロイド系殺虫剤が効きにくいゴキブリに対して効果が高い。


4、に書いた電磁波を利用した機器。興味がでたので調べてみたら引っかかったこんなサイト。
⇒ペストコントロ・アニマルリペラー

■■■新型ペストコントロ(PR3L)■■■ ■
特徴・有効性 電磁波と超音波のダブルパワーで、やっかいなねずみ・ゴキブリを寄せ付けないようにします。（ねずみ・ゴキブリは、超音波・電磁波を知覚することが研究の結果、知られています。）
本製品は、本体より発生する電磁波が屋内電気配線を伝わり家屋全体を包み込み、また超音波(25,000Hz～60,000Hz)がねずみ・ゴキブリの神経を刺激します。

この２つの作用で、ねずみ・ゴキブリのきわめて住みにくい環境を作ることで、屋内に寄せ付けないようにします。

なんか限りなく怪しい。
25kHz～60kHzって思いっきり犬猫の可聴域のはずなんだけど、なぜか「ペットにも影響ありません」。どういう理屈なんだろう。電磁波に関してはここを読む限り一応ゴキブリに刺激を与えるのは確からしいけど、「寄せ付けない」と断言できる根拠は不明。
ついでに、これと同類の電磁波ゴキブリ忌避装置『ベストＸ』という製品は、公正取引委員会にお墨付きで否定されていたりする。「そのような効果は認められない」。さすが公取、お世辞は嫌い。
⇒知財情報局　ゴキブリ駆除「ペストＸ」は効果なし　－公取委員会－
⇒[PDF]ゴキブリ及びネズミを駆除する性能・効果を標榜する商品 の輸入総代理店及び販売業者に対する排除命令について

結局、電磁波ゴキブリバリアはまだ夢の話ということか。



沖縄のゴキブリは米軍から編隊飛行を履修済みだともっぱらの噂。沖縄怖い。