あまぞんな日々

お金を貯める為にお金を使う。貯金箱ほど矛盾した商品を、私はあんまりそれほど多くは知らない。

この商品は5900円。お金を貯められる人間はこんなもの買わないし、貯められない人間には5900円の無駄遣い。要らぬもの買えば要るものを売るに至る、なんて人事ではない格言もあったもので、いかにも押入れでホコリをかぶっていそうなこの貯金箱にうまい棒590本分（税抜き）の価値があるのか甚だもって謎だ。

とはいえ同時に見つけた7分の1スケール、12000円の『南部鉄器ポスト型貯金箱』という札束でキャンプファイヤーをするかのような商品よりは幾分楽しい機能はついている。

少し前に「人生銀行」という貯金箱がテレビで取り上げられたのを覚えている。貯金箱に液晶が付いていて、最初は貧乏な暮らしをしているキャラクターが、貯金箱に入っている額に対応して変化していくというやつ。なかなかに楽しそうだったけど、冷静に考えてみればタダ飯喰らいの棒人間を養う筋合いはない。

人生銀行よりも、もっとゲーム性を高くして貯金をしやすく工夫したのがこのバンククエスト。クエストって文字と貯金箱の形で想像はつくと思うけど、要するに扶養家族だった棒人間が冒険に出かけたってことね。

おっ、と思ったのはデジタルの冒険とリアルの貯金をリンクさせる方法。ゲーム内でのお金、1Gが実際に貯金箱に投入した1円と同じ価値を持っていて、液晶内のキャラクターが1000Gの武器を買うためには1000円分貯金箱に入れる必要があるんだって。バーコードバトラーなんてものも昔にあったよね。アナログのデジタル化ってこんなにわくわくするものなのか。

肝心のゲームシステム部分は商品説明からまるまるコピーする。手抜きではなく手付かずです。もっと下下。

本気のロールプレイング！
「貯金で装備を整えたら冒険に出発。勇者は世界征服をたくらむ大魔王ワルダラーを倒すためにモンスターを蹴散らしながら100階を目指し、塔を登っていく。冒険を進めてレベルアップすると、購入できる武器やアイテムも増えていく。
モンスター180種類以上、購入できるアイテム数は160種類以上登場する。さらには隠しアイテムや隠しフロアも用意されていて、ゲームファンも納得の出来。」


ワルダラー魔王のご両親のネーミングセンスは無限大。