新潮文庫。
夏目漱石の著作権はとうの昔(死後50年)に失効しているので、電子書籍でよければ「青空文庫」というサイトで今すぐにでも、タダで全文読むことが出来る。もちろん合法。他にも芥川龍之介(没年1927年)、太宰治(没年1948年)等の作品もあるので、興味のある人は眼をやられない程度で読書むといい。
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青空文庫
タダで読めると知ると新潮文庫「坊っちゃん」の300円、一寸高く感じる。それでも紙の手触りとあの匂いが好きな人間には実物書籍の需要があるんだけどね。
あの匂いでトイレに行きたくなる人がいるってほんとかな。
【あらすじ】
親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりしている。中学の数学教師として四国に越任した"坊っちゃん"は、そこにはびこる不人情を体感する。"坊っちゃん"の決して正義とは呼べない奔放な行動と、単純で俗に捕らわれないその性格を通して、明治を舞台に同僚、生徒、下宿の主人達との人間関係を鮮やかに描き出す。
ゲームでもよく言ってるけど、雰囲気ゲーと目的ゲーは楽しみ方がまるで違う。この二つを取り違えてしまうと、どんな名作もくすんでしまう。冒頭で事件が起きて、中盤で探偵が眠って、終盤で解決する、これを目的小説とするならば、「坊っちゃん」は雰囲気小説。特にこれといって度肝を抜かれる展開はないので、世界観と、竹を割ったような考え方をする主人公の視点を楽しめなければ拍子抜けしてしまう。
全体を通してテンポがいいのは流石にお札の御方。訂正、お札だった御方。多少注釈が必要な古い表現があるものの短く読みやすいので、本嫌いな人が夏目漱石へ入門するのに向いている。読んでない人は是非一読を。・・・でもこんなこと言っても本嫌いな人はまずここを検索してこないか。
昔、どっかの企業がネットアンケートを使って家庭にネット環境があるか調査した、ってやつを思い出した。結果は98%「ある」。100%じゃないのかよ、っていう。そんなイレギュラーな2%に語りかけてみるのも悪くない。
読み終わった瞬間の感想は特になし。ちょっと右耳が痒かったくらい。
余談だけど、純文学と大衆文学。この二つの違いを簡潔に述べるならば、一次産業と二次産業であると聞いたことがある。純文学は新しい考えを提示する。大衆文学は既存で周知な事実を面白おかしく再構築する。
この定義を当てはめるならば「坊っちゃん」大衆文学なんだろうけど、より世俗的であることが加速している現代の世では"坊っちゃん"の生き方は純文学に寄ってきているんじゃないだろうか。
人生が余談ですいません。毎晩布団がぬくい
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