グラフィックはPS2では下。でも蚊の大きさと人間の大きさの、スケールの対比はうまく出来ていると思う。ラジカセにタックルして音で人間を誘導したり、電子レンジに閉じ込められてゲームオーバーになったり、山田家の人々の行動を観察したり。小"人"の感覚は目標達成以外での楽しい要素。"蚊"なんですけどね。
操作はかなり難しい。動きまわる目標相手にただでさえ難しい三次元の動きを要求されるのに、慣性があるため思うように動き回れるようになるまで時間がかかる。しかも時間をかけてまでマスターしたいとも思わせてくれない。蚊の醍醐味と言えるのかは知らないけど、吸血中の一撃死もあるので笑えなければストレスにしかならないと思う。
ステージ数は11個。山田家の警戒度に準じて難易度が上がるように作られている。例えば序盤はみな無警戒で、くっついて血を吸えばいいだけなのに対して、後半は殺虫剤や蚊取り線香が行く手を阻み、やがて山田家の人々は尋常じゃない敵意を蚊に向けてくる。ほんと尋常じゃない。
蚊側から見れば淡々と目標をこなすだけでストーリーはないけど、この山田家の敵意の推移「家族会議」がステージクリアのやる気を維持してくれる。
以下ほんの少しだけネタバレ。まさに「ネタ」バレ。
山田家の構成は大黒柱・山田健一(46)、主婦・山田カネヲ(46)、長女・山田麗奈(17)の3人。健一は、禿げでメガネで腹巻という中年のステレオタ イプを体現しているが、実は手からビームを放てる。カネヲは、おばちゃんパーマにヒョウ柄スパッツというこれまた見事なおばちゃんなのだが、キッチンで6~7回転宙返りを決めるという人とは思えない運動神経を発揮する。麗奈はギャル、入浴シーンでゲーマーを釣るために存在する。
ただ単なるクソゲーではない。『蚊』ではバカの要素が大事で、悔しくも2度笑わされた。一切期待せずにこのシュールさを実物で確かめて頂きたい。中古品はおにぎりより安い。
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